再生医療といわれる幹細胞治療
幹細胞治療とは、傷ついた組織や失われた機能を回復させる再生医療の一種で、患者自身の幹細胞を採取して培養し、治療に用いる方法です。
幹細胞には下記のような特徴があります。
- 自己複製能や分化能を持ち、特定の細胞種に分化できる
- 免疫適合性が高く、自己免疫疾患や移植手術にも応用できる
- DNAの損傷を防ぎ、細胞周期を制御できるため、安全性が高い
自己脂肪由来幹細胞治療
自己脂肪由来幹細胞治療法とは、自身の脂肪から摂取した幹細胞を培養し、点滴で身体に戻して慢性疼痛などの症状を緩和する再生医療です。
自己脂肪由来幹細胞治療法の特徴は次のとおりです。
- 自身の細胞を使用するため、安全性が高く、アレルギーや拒絶反応などの副作用が少ない
- 炎症や痛みを抑える効果が長期的に得られるという報告がある
- 軟骨や骨などの組織の修復が期待できる
幹細胞治療で改善される症状
幹細胞治療は非常に広範囲に渡り効果があるとともに副作用が極めて少ない治療法です。
また、幹細胞治療には様々な副産物があることが解っており、血管の修複と血流の改善、痛んだ細胞の再生に伴うアンチエイジング効果など、様々な効果が確認されています。
血管の病気 | 心筋梗塞、脳梗塞、腎不全初期、認知症初期、糖尿病などの下肢の虚血 その他血管が病気になってくる病気全般 |
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神経の病気 | 小児麻痺、認知症、脳梗塞、パーキンソン、その他 |
骨・軟骨の病気 | リウマチ、変形性関節炎 |
その他の疾患 | 糖尿病、肝臓病、免疫疾患(難治性の膠原病)、喘息 |
様々な場所から採取できる幹細胞
現在では、身体の各所から幹細胞を採取することができます。それぞれに特徴があるので主要な採取部位を紹介します。
□ 脂肪 -自己脂肪由来幹細胞
腹部など身体から約10~20g程度の少量の脂肪組織を採取し、その脂肪細胞から幹細胞を培養する方法です。細胞採取部位が体表に近いこともあり、採取する際の身体の負担やリスクが大幅に抑えられます。また、脂肪由来の幹細胞の含有量は骨髄由来に比べて500倍と非常多く、増殖力が高いことに加え、臓器修復に有効な成長因子の種類が多いことから、現在の再生医療の主流として多くのクリニックで様々な治療法に活用されています。
また、脂肪由来の幹細胞培養上清液は、骨や軟骨、液性因子の分泌に優れているため、膝などの変形性関節症や美容系アンチエイジングといった再生医療への応用に期待されています。
□ 脊髄 -脊髄由来幹細胞
間葉系幹細胞の他、血液の元となる造血幹細胞の2種類の幹細胞が含まれます。神経再生能力が高く、脳卒中・脊髄損傷など血液疾患の治療に適しています。骨髄の採取に伴う痛みなど患者様の身体への負担がかかるうえ、幹細胞の含有量が少なく、高齢者から採取した場合、その増殖スピードも加齢とともに遅くなるという報告があります。
□ 臍帯 -臍帯由来幹細胞
臍帯とはへその緒のことです。臍帯を流れる血液を通じて赤ちゃんは母体から栄養や酸素などを受け取ります。
出産時にしか採取できない貴重な臍帯血に含まれた造血幹細胞は、白血病や再生不良性貧血などの血液疾患の治療に適用されます。
□ 歯髄 -歯髄由来幹細胞
歯髄細胞とは、歯の中心部分にある歯の神経のことです。
歯髄幹細胞は、歯の硬い組織に守られているため遺伝子に傷が付きにくく、ガンになりにくい細胞で非常に元気、かつ、良質な幹細胞を多く含んでいます。
幹細胞は加齢とともに急激に減少する傾向にあるため、“乳歯や20歳以下の親知らず”などなるべく若い細胞から製造するのが最適です。また、歯から幹細胞を採取し培養するため、骨髄や脂肪などのよく知られている幹細胞の採取方法と比べ、ドナーの負担やリスクがなく、手軽で安全に採取できるのが特長です。