「NAD+」とは抗老化遺伝子を
活性化させるための成分

NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)とは、ヒトの体内に存在する補酵素です。代謝酵素をサポートしながら、生命維持に必要不可欠なエネルギーを作り出す役割をもちます。しかしNAD+は加齢とともに減少し、外見的衰え・体力的な衰えなどの老化現象を引き起こします。NAD+を補うために補酵素の含まれる食品(ブロッコリーや玄米等)を摂取したとしても、ほとんどが消化器で分解されてしまうでしょう。

NAD+の重要な働きは、老化現象を抑制する遺伝子”サーチュイン”の活性化にあります。NAD+はそれぞれ働きの異なる7種のサーチュインすべてを活性化することから、NAD+の摂取は加齢による肌や体力の衰え、肥満などを改善に導くとされています。

海外では老化予防薬ともいわれ、世界中が注目するNAD+のエイジングケア効果。国内ではNAD+点滴やNMN点滴、またNMNサプリメントとして補給することが可能です。

若さを保つためには
「サーチュインの活性化」がカギ

外見や活力など”若さ”を左右する「サーチュイン」は、抗老化遺伝子や長寿遺伝子とも呼ばれ、脳(視床下部)に多く存在します。サーチュインとは酵母菌からヒト細胞に至るまで存在する遺伝子の総称です。しかし加齢とともにサーチュインの遺伝子発現量(※)は減少し、シワや肥満などさまざまな老化現象を引き起こすとされています。

現在までの研究により、ヒトや哺乳動物にはSIRT1からSIRT7まで7種類のサーチュインが確認され、それぞれが異なる役割を担います。ラットによる実験において、SIRT6を大量に発現させることにより他のラットとくらべ、若々しく活発な動きと老化関連死が減少し長生きをすることが認められました。
※遺伝子発現:遺伝子からタンパク質が作られること

その後サルを使った研究では、食餌制限により摂取カロリーを抑えることでSIRT2の発現量が増加、老化関連疾患と老化関連死が減少傾向にあるとの報告があげられています。サーチュイン発現量の増加・活性化は、「ミトコンドリア」や「テロメア」の機能低下を防ぐとされ、老化の遅延や寿命延長の可能性に期待がもてるといえるでしょう。

ミトコンドリア=生命活動エネルギー
の産生工場

ミトコンドリアとはエネルギー産生に関わる細胞小器官です。私たちが摂取した食物(糖や脂質)から、生体エネルギー通貨といわれる「ATP(アデノシン三リン酸)」を合成します。加齢によりミトコンドリアの機能が低下することで、ATPの合成阻害・不足により活性酸素が増加し、肌や健康上にさまざまな不調を招きます。

テロメア=細胞の寿命を司る時限装置

テロメアとは染色体の末端にある構造タンパク体であり、遺伝子情報をもつDNAを保護する役割をもちます。細胞分裂のたびにテロメアは短くなり、テロメアの長さの限界を迎えると細胞分裂は止まり細胞死に至ります。「生物は細胞分裂のたびに老化が進行する」とされ、テロメアを延ばすことで老化の進行を遅らせるテロメア説について今なお、世界中で研究が進められています。

NAD+の人体における重要性

NAD+は人体にあるすべての細胞にある補酵素です。加齢とともに減少することで多くの老化現象や病気を引き起こします。その中でもとくに以下3つの作用が注目されています。

  • 1.ゲノム安定性

    ゲノムとは染色体に含まれるすべての遺伝子と遺伝情報のことです。染色体を構成する成分をDNAといい、活性酸素や環境中の化学物質などにより日々、損傷を受けています。DNAの受けた損傷でゲノムが不安定となり、細胞老化の進行やがんの発生を引き起こすとされています。 体内にはDNA損傷を修復する「DDR(DNA損傷応答)」機能が存在します。しかし、体内のNAD+が減少するとDDRがうまく機能しないため、損傷修復がなされずDNAへのダメージは増加するといえるでしょう。

  • 2.エネルギー代謝

    ヒトは酸素や食物などを摂取し、代謝によりエネルギー産生をおこないます。体内すべてのエネルギー代謝が正常におこなわれるためには、NAD+が必要です。しかし、加齢とともにNAD+は減少することから代謝機能は衰えるとされています。加齢とともにアルコールに弱くなる、または痩せにくい身体になるのも、NAD+の減少が関係するといえるでしょう。

  • 3.サーカディアン・クロック
    (体内時計)

    サーカディアン・クロックとは体内時計のことです。1日周期でリズムを刻む体内時計は脳からの指令により日中は活動、夜は休息状態に切り替わります。自律神経バランスや朝晩の血圧変動なども体内時計による生体リズムといえるでしょう。

しかし加齢によりNAD+が減少すると体内時計のリズムが乱れ、不眠や頭痛を引き起こします。とくに60代以降の方は、眠りを促すメラトニンというホルモン分泌量が低下するため寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めてしまうなど、睡眠の質が低下しやすい傾向があります。

NAD+を直接点滴で取り入れる
「NAD+点滴」

NAD+点滴は加齢により減少したNAD+を補い、サーチュインを活性化するとされています。とくにNAD+が急速に減少する40代以降の方に対して大きな効果が認められ、肌質改善や育毛、肥満など総合的なエイジングケアへアプローチする点滴療法です。

< こんな方にNAD+点滴はおすすめ >

  • 身体の中からエイジングケアをしたい
  • 肌質を改善したい
  • 疲れをとりたい
  • 夜間熟睡したい
  • 筋肉量を増やしたい
  • 代謝をアップして痩せたい
  • 病気になりにくい身体をつくりたい
  • 免疫力をアップさせたい
  • ミトコンドリアを活性化させたい
NMNの補充イメージ

「NAD+点滴」と「NMN点滴」は異なる

普段耳にすることが多いNMNとNAD+は別物です。
「NAD+点滴」と「NMN点滴」も、作用機序が大きく異なります。NMNはNAD+の前駆物質となり、代謝を経てNAD+として作用します。

「SPCell NAD+ IV 501」

SPCell NAD+ IV 501は、NAD+とACC化合物(SPCell Lab Japanで条件付き承認を受けた)の組み合わせによる、独自の改良技術を成功裏に応用し、細胞のエネルギーを何倍にも加速させたものです。

NAD+点滴療法のメリット・デメリット

メリット効率よく体内に取り入れることができる

NAD+点滴は代謝を必要としません。効率よく摂取可能であることが最大のメリットといえるでしょう。個人差はありますが「NAD+点滴直後から身体が軽く感じる」などの声も多く、効果実感が早いことも特徴です。

デメリット費用が高額

NAD+点滴のデメリットは一度の治療が高額であることです。一般的なNMN点滴と比較して、製剤の特殊性から費用が高額になってしまうのです。

NAD+点滴の施術概要

NAD+が配合された製剤を点滴します。点滴中は、読書をしたり、スマートフォンを操作することもできます。仰向けでも座位でも楽な体勢でお過ごしいただけます。またさまざまな美容治療も同時に受けていただくことができます。

<リスク・副作用・ダウンタイム>

ダウンタイムはほぼありません。
静脈注射ですので、穿刺部位に内出血を起こすことはあります。
NAD+点滴に使用される薬剤は安全で副作用が少ないものです。稀に、血管痛を訴える例があります。
点滴中に腕を温める、点滴速度を遅くすることで軽減することができます。また、NAD+濃度を低くすることも有 効です。ごく稀にNAD+点滴中に、軽い吐き気や頭痛を訴える方もいらっしゃいますが、これらの症状は点滴の速 度を遅くすることで軽減できます。または血中ビタミン群のバランスを整えるためにビタミン剤の投与をすることも有効です。

<推奨されている回数・頻度・持続期間>

健康な方であれば、一般的に週に1回の点滴治療で十分なNAD+を補給し、最適な健康状態やパフォーマンスを維持することができます。
大半の方が1回のNAD+点滴で効果を実感する安全性の高い治療法です。しかし、体内のNAD+は日々減少するため、継続にケアをおこなうことが大切といえます。

<施術を受けられない方>

妊娠中のNAD+ 点滴に対する安全性は現時点では確認されていません。そのため、妊娠中・授乳中の方はNAD+点滴を受けることはできません。

準備・施術方法

1. 生理食塩液に輸液セット・延長チューブを接続し、生理食塩液でルートを満たしておく(仮に穿刺がうまくいっておらず穿刺後漏れた場合に、先に生理食塩液から漏れるので試薬が無駄にならない)。

2. 生理食塩液から18G針にてNAD+溶液を吸い上げ、生理食塩液へ戻す。混注した生理食塩液から数ml薬液を吸い取り、試薬バイアルに再度混注、軽く混和し、再度シリンジで吸って生理食塩液へ戻す。一度溶解したものは冷蔵庫で保管し24時間以内で使い切る。

3. 20mlシリンジに生理食塩液20mlを吸っておく。

4. ルート確保し30分から60分かけ投与。

5. 生理食塩液のバッグの中がなくなったら、3の生理食塩液20mlをバッグに入れ、ルート内をフラッシュする(点滴バッグ内の試薬の残留を減らすため)。他の点滴を続けて投与する場合も。フラッシュを行ってから投与する。

6. 抜針し、終了。