幹細胞培養上清液

羊膜由来幹細胞

羊膜とは、出産時の胎盤から抽出されるコラーゲン性の膜です。
この羊膜由来の幹細胞を培養した際に発生する成分が羊膜由来幹細胞培養液です。
羊膜由来幹細胞は、新生児の細胞であることから、加齢や環境によるDNA損傷も少なく、iPS細胞のような人工的な遺伝子改変による発がんリスクもないです。
幹細胞培養液は、各種たんぱく質やサイトカイン(成長因子)を多様かつ豊富に含みますが、特に羊膜由来の培養液はサイトカインの含有量が高く、肝細胞、脳、心臓、筋肉細胞を再生させる作用が強いといわれています。
また、免疫抑制作用・炎症鎮静作用なども高く期待できるので、創傷治癒を促進し、しわやたるみの改善、ハリや弾力のアップといったエイジングケア効果が期待できます。
さらに、疲労回復、薄毛症、脱毛症、更年期障害や心筋梗塞、糖尿病といったリスクを軽減する働きも見込めます。

羊膜
羊膜MSCの位相差顕微鏡像

臍帯由来幹細胞

臍帯とは、へその緒のことです。
この臍帯由来の幹細胞を培養した際に発生する成分が臍帯由来幹細胞培養液です。
この臍帯にある間葉系幹細胞は、新生児の細胞であることから、加齢や環境によるDNA損傷も少なく、iPS細胞のような人工的な遺伝子改変による発がんリスクもないです。
骨髄由来、脂肪由来などの成人の組織から採取する細胞と比較すると、ES細胞(受精卵から採取される幹細胞)に近い性質(遺伝子発現)を持っていることが分かっています。
サイトカインの含有量が高く、免疫抑制作用・炎症鎮静作用なども高く期待できるので、創傷治癒を促進し、しわやたるみの改善、ハリや弾力のアップといったエイジングケア効果が期待できます。
臍帯由来の間葉系幹細胞は、神経を保護する作用が、骨髄由来、脂肪由来よりも高いという報告もあります。神経障害などの改善にも期待されております。

脂肪由来幹細胞

腹部など⾝体から約10〜20g 程度の少量の脂肪組織を採取し、その脂肪細胞から培養加工した上清液が、脂肪由来幹細胞培養上清液です。
細胞採取部位が体表に近いこともあり、採取する際の⾝体の負担やリスクが⼤幅に抑えられます。
また、脂肪由来の幹細胞の含有量は⾻髄由来に⽐べて500 倍と⾮常多く、増殖⼒が⾼いことに加え、臓器修復に有効な成⻑因⼦の種類が多いことから、現在の再⽣医療の主流として多くのクリニックで様々な治療法に活⽤されています。
脂肪由来幹細胞培養上清液は、骨や軟骨、液性因子の分泌に優れているため、膝などの変形性関節症や美容系アンチエイジングといった再生医療への応用に期待されています。

歯髄由来幹細胞

歯髄細胞とは、歯の中心部分にある歯の神経のことです。
⼦供の乳⻭の歯髄から採取した歯髄幹細胞を加工上清したものが歯髄幹細胞培養上清液です。
歯髄幹細胞は、⻭の硬い組織に守られているため遺伝子に傷が付きにくく、ガンになりにくい細胞で非常に元気、かつ、良質な幹細胞を多く含んでいます。
幹細胞は加齢とともに急激に減少する傾向にあるため、“乳歯や20歳以下の親知らず”などなるべく若い細胞から製造するのが最適です。
また、歯から幹細胞を採取し培養するため、骨髄や脂肪などのよく知られている幹細胞の採取方法と比べ、ドナーの負担やリスクがなく、手軽で安全に採取できるのが特長です。

葉の神経=歯髄
乳歯歯髄MSCの位相差顕微鏡像

コラム幹細胞培養上清液

・上清液って何?

身体の各部位から採取した幹細胞を培養し、培養した細胞を満たす液(培養液)の上澄の液のことを指します。
幹細胞治療においては自家細胞しか利用できないのに対して、この培養上清液による治療の場合、治療製剤に培養した細胞が含まれていないため他家の細胞培養過程において発生する上清液を利用することができます。

・エクソソームって何?

エクソソーム(Exosome、エキソソームとも呼ばれる)は細胞から分泌される直径50-150 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)の顆粒状の物質です。その表面は細胞膜由来の脂質、タンパク質を含み、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質など細胞内の物質を含んでいます。
エクソソームは細胞外小胞(Extracellular vesicle)の一種とされており、細胞外小胞にはエクソソームのほかにマイクロベシクル、アポトーシス小体があり、それぞれ産生機構や大きさが異なります。
細胞から分泌されたエクソソームは細胞と細胞の間に存在するだけでなく、体液(血液、髄液、尿など)にも存在しており、体中を循環しています。
エクソソームの重要な機能として注目されているのは、細胞間の情報伝達に使われているということです。
前述のようにエクソソームはその内部に核酸、タンパク質などを含んでいます。
分泌した細胞の核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA)がエクソソームを介して受け取り側の細胞に伝達され、機能していることが報告された(文献1)ことから、エクソソームは細胞間のコミュニケーションツールとして働いていると考えられています。
最近では、悪性度の高いがん細胞から放出されたエクソソームが悪性度の低い細胞に働きかけ、その細胞の性質を変化させることを証明した報告も出ています。
また、ある研究報告によれば、真皮の幹細胞が自身の分泌するエクソソームを介して線維芽細胞へ指令を送り、コラーゲン産生を促進していることが明らかになりました。
線維芽細胞とは、コラーゲンを生み出す能力を持つ細胞です。
この研究では真皮の幹細胞が分泌したエクソソームを線維芽細胞が内側へ取り込み、コラーゲンの生成量を増やしたということです。
今後さらに作用のメカニズムが明らかになれば、エクソソームを利用して狙った場所のコラーゲン生成を増やし、ハリやたるみ治療などアンチエイジングに応用できるのではないかと期待できます。
(文献1): Valadi H, Ekström K, Bossios A, Sjöstrand M, Lee JJ, Lötvall JO. Exosome-mediated transfer of mRNAs and microRNAs is a novel mechanism of genetic exchange between cells. Nat Cell Biol. 2007, 9, 654-659

・幹細胞培養上清液に入っている成長因子って何?

成長因子とは、動物体内において特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称です。
増殖因子、細胞増殖因子などとも言います。様々な細胞学的・生理学的過程の調節に働いており、標的細胞の表面の受容体タンパク質に特異的に結合することにより、細胞間のシグナル伝達物質として働ことで知られています。
成長因子の主な役割は、成長ホルモンの分泌に関わったり、細胞の増殖を促し創傷治癒の一端を担います。
「自然治癒力」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
けがをした時、時間と共にキズが徐々に治っていくと思いますが、その再生力のことを自然治癒力と呼びます。
キズが治るためには、ターンオーバーによって古い皮膚が押し上げられ、新しい皮膚に生まれ変わる必要があります。成長因子には、このターンオーバーを正常に働かせる作用があるのです。
美容医療の現場ではEGF, FGF, IGF, KGF, TGFといった種類の成長因子を増殖あるいは外部から注入することで治療目的を達成することがあります。

・幹細胞培養液入っているそれ以外の成分は?

幹細胞培養上清液には500種類以上のサイトカインが含有されています。
身体に様々な効果・影響を与えますが、特に医療の現場においてはIL-1αというサイトカインの活躍が非常に大きいです。
IL-1αは、炎症、微生物侵入、組織損傷、免疫応答における強力なメディエーターとして機能するサイトカインです。
最近の研究では、IL-1αが創傷治癒、関節リウマチ、アルツハイマー病、腫瘍増殖においても役割を果たすことが示唆されています。
顔面美容治療においても全身治療においても、各部位の炎症治癒効果が高く評価されています。